DbDキラーの背景

学術書を達成すると、一部にキャラのショートストーリーが読めるのがある。
そこから分かる各キャラの設定の抜粋メモ。

五十音順です。
載ってないキャラは入手後に追加予定。

アーティスト(カルミナ・モーラ)

カルミナ・モーラは幼い弟マティアスの死に自責の念を抱いていた。
チリ南部の沿岸の村で育ったカルミナは、パタゴニアの自然を写生するのが好きだった。
カルミナが子供の頃、母が失踪したのは自分のせいだと思っていた。
母に見捨てられたのはお前のせいだと父に責められ、母と別れた悲しみは更に増した。
1年後、カルミナが弟と絵を描いていると電話が鳴った。
カルミナは急いで電話を取り、数秒で切ったが、外に戻るとマティアスがいなくなっていた。
家のすぐ近くの小川に赤色の上着が落ちていた。
小川に飛び込んだカルミナは、虚ろな目で水面に浮かぶ弟を見つけた。
カルミナは鴉の群に囲まれながら、弟を抱いて啜り泣いた。
翌日の朝、世界は闇に包まれたようだった。
父は何も言わなかった。
カルミナは何もかも自分のせいだと悟った。
数ヶ月過ぎても弟の記憶は鮮明だった。
自己嫌悪からカルミナは絵を描けなくなった。
弟の誕生日の朝、カルミナは家から離れた狭い橋にいた。
橋の柵から激しく流れる川が見えた。
地元では飛び降りスポットと呼ばれていた。
もうすぐ会えるとカルミナは目を閉じると、鴉の鳴き声が空いっぱいに聞こえた。
光沢のある黒い鴉がカルミナの肩に留まり、カルミナの眼を覗き込んだ。
別の鴉も柵に留まり、あっという間に鴉で覆われた。
カルミナが一瞬でも下を見ると鴉は怒涛の鳴き声を上げた。
カルミナは鴉が自分の仲間のように感じた。
カルミナは何週間もかけて、その出来事を絵で表現した。
その経験から黒インクを使ったシュルレアリスム芸術が生まれた。
カルミナは人通りの多い街角で大規模壁画を描き、壮大な衣装をデザインして、反体制を詠う詩を朗読した。
そのアートは地元の近しい人の悲劇を表わした物で、地元民はアートを無視できなかった。
カルミナの芸術にはいつも鴉が付いて来た。カルミナはイコノクラスム(宗教上のモニュメントや政治的モチーフを破壊する)の視点を理解する画家グループと付き合うようになった。
カルミナのパフォーマンスでシュルレアリスム運動は社会現象にまでなった。
ヴァック・レーベルという多国籍企業からカルミナに依頼が来たが、評判の悪い下院議員に芸術を贈与している企業だった。
しかもヴァックに委託されたアーティストは姿を消していた。
カルミナはヴァックと政治汚職との関係を暴くべく、依頼を引き受けた。
カルミナは霊園の地下墓地に巨大壁画を描いた。
死神がチリ人農家の畑を刈り取るというヴァックのロゴだった。
その作品は汚職論争に火を点けて、カルミナは非難の的となった。
殺害予告を受けたカルミナは父の家に身を寄せた。
その夜、武装集団が家に押し入り、カルミナと友人達をワゴン車に乗せて去った。
次の日の朝、カルミナと友人達は砂漠のど真ん中で手足を縛られて椅子に座っていた。
フードの男が聞いた事の無い言語で聖歌を詠唱し始めた。
そして男はナイフでカルミナの腕を切断した。
カルミナは男を罵りつつ足の拘束から逃れようとした。
「これではもう絵を描けないなぁ?」
男はカルミナの舌を掴みだして切り落とした。
「これで詩を朗読できないだろう?」
カルミナは弟を亡くした傷に耐える唯一の手段を失い、弟が死んだのと同じくらい泣き叫んだ。
鴉の鳴き声が響き渡り、黒い鳥がカルミナの腕に留まった。
鴉の群がフードの男に突っ込み、男の肉体を啄み始めた。
自分が描いたシュルレアリスム作品が実現し、カルミナは微笑んだ。
しかし鴉のターゲットが地面に横たわる友人に移ったのを見て、カルミナは怒りで心臓が激しく脈打った。
友人達の苦痛の声が増す中、カルミナの眼に闇が掛かった。
またもやカルミナのせいで誰かが死ぬ。
黒い霧がカルミナを包んだ。

アルバート・ウェスカー

アルバート・ウェスカーはアンブレラ社の幹部だったが、会社を裏切った。
試作段階のウイルスを自己投与し、超人的な力を得た。
ウェスカーは自己の死を偽装し、生物兵器ウロボロスの脅威に世界に晒す新たな計画を立てた。
アフリカで計画を実行中、BSAA(Bioterrorism Security Assessment Alliance)の抵抗に遭った。
進化の先駆者となるべく、ウロボロスを体内へ取り込むと、想像もしなかった進化を遂げた。
しかし奇妙な黒い霧が立ちこめた。
霧が晴れると、成仏させるべき下等生物に囲まれていた。

アンノウン

オリビアは都市伝説の起源の博士論文を書いていた。
アンノウンは、その存在を調べようとすると死を招くと信じられていた。
グリーンビルの女性がステージの前から姿を消し、その数週間後には事件を調査していた友達も行方不明となった話があった。
オリビアは調査の為にグリーンビルに向かった。

最初に見つけた新聞記事には1800年代の降霊会での失踪事件が書かれていた。
1950年代に数人の大学生が映画館から忽然と姿を消していた。
1960年代には幽霊が出る廃病院に忍び込んだ10代の若者達が行方不明になっていた。
不可解な失踪事件を説明するアップルパイ計画が噂されていた。
それは幻覚剤を使ったマインドコントロール実験だった。
1970年代にその記録は殆どが破棄された。
その非倫理的な実験は別の次元の扉を開き、邪悪な物が入りこんだと信じる人は少なくなかった。

オリビアは調査結果を探偵ボードにピンで留めた。
暗闇に住むアンノウンは犠牲者の声を真似る。
地球外生命体なのか、政府の実験の失敗作か、ただの連続殺人鬼なのか。
オリビアはアンノウンがありふれた言い伝えに過ぎないと証明したかった。
しかし、グリーンビルの失踪事件には他とは異なる点があった。
霧の存在だ。
オリビアは霧によって行方不明となる別の都市伝説を思い出した。
オリビアはグリーンビルの失踪事件は別の闇が関係しているかもしれないと思い、ふと都市伝説が別の都市伝説と出くわしたらどうなるかと考えた。
そしてアンノウンのスケッチを描いて探偵ボードにピン留めした。
しかし何も起らなかった。
時計は午前2時を過ぎていた。
バスルームから「助けて……」という声が聞こえた。
バスルームに近づくと照明が点滅し続けていた。
ドアノブに手を置くと部屋の明かりは消えた。
人間とは思えない奇妙な叫び声が聞こえ、ドアの下から黒い霧が出てくるのが見えた。
ドアを開けると、触手を持った物体が黒い霧に引き込まれて暗闇に消えたのが見えた。
金切り声は突然止み、隣の客がテレビの音量を下げるよう壁を叩いた。
オリビアは目の前にある真っ黒な深淵を見つめた。
逃げ出したい自分もいれば、もっと知りたい好奇心もあった。
人間が経験できない超自然的な事を約束する声が聞こえた。

エクセキューショナー(三角頭)

処刑人である三角頭は、サイレントヒルの如き地獄の道を、常人には理解しようもない使命を背負い闊歩していた。
使命を果たし、彼の存在が不要になると、彼は長い眠りに就こうとした。
しかし霧が彼を包み、三角頭は自らの責務を受け入れた。

鬼(山岡崋山)

山岡崋山は侍になりすます農民達のせいで侍文化が廃れるのを止めたかった。
彼は父の刀を借り受け、日本から偽侍を排除する為、闇の巡業を行った。
山や丘、海辺や森林にいた偽侍を殺した。
その殺し方は残忍で冷酷、かつ病的だった。
彼は農民も武士も関係なく髷を引っ張り回し、装甲を剥ぎ取って屈辱を与えた。
僧侶達は彼が異世界から来た闇の何かに取り憑かれていると罵った。
領主は彼を憤怒の侍「鬼の山岡」と呼んだ。
それは山岡一族をも侮辱する事になった。
崋山は自分を鬼の山岡と呼ぶ者を片っ端から斬殺した。
侮辱を受けて彼は戸惑っていた。
偽物を斃し、侍階級を浄化したのに、なぜ自分を鬼と呼ぶのか?
戦地で最強の武士を斬り捨てたから?
棍棒で何百もの頭蓋骨を叩き潰したから?
倒した相手から必ず戦利品を奪っていたからだろうか?
彼の頭の中で不穏な声が囁いた。
お前の名を冒涜した領主を叩き潰せと。
領主の町に着くと侍が行く手を阻んだ。
侍は攻撃を仕掛けてすぐに優位に立った。
しかし躊躇した隙に崋山は侍の頭を兜ごと粉砕した。
倒れた侍に近づくと、崋山の父だった。
崋山はよろめいて尻餅をついた。
崋山は目を閉じ、苦しみの雄叫びを上げた。
崋山が目を開くと父は死んでいた。
盗人どもが死体から戦利品を盗むのを容認した。
崋山はあてもなく彷徨った。
頭の中で父の声が響いた。
彼を嘲る声に、自分が不出来な子だと思い知らされた。
崋山は森の中で鬼の像を見つけた。
その像は彼を嘲笑っているようだった。
自分が壊滅させようとした偽侍に、正に自分がなっていると。
崋山は自分を鬼の山岡と嘲笑した領主をぼんやりと思い出した。
崋山は再び領主の町へ向かった。
町の入口で崋山を待ち受けていた十数人の侍は、崋山の棍棒に倒れた。
崋山は屋敷に隠れていた領主を見つけた。
腱を斬って動きを封じ、口めがけて拳を叩きつけ、その舌を引き抜いた。
崋山が屋敷を出ると数十人の農民に囲まれた。
錆びた鎌、鋭い三つ叉、重い棍棒で武装していた。
最初の数回は襲撃を免れたものの、大勢であらゆる方向から攻撃を仕掛けられ、程なく崋山は倒れた。
農民達は鬼を代わる代わる貫き、責め苦を与えた。
小さな石臼に崋山を入れて拷問を続け、最後には放置した。
彼らが戻って来ると、石臼は黒霧で満たされ、崋山はいなくなっていた。

怨霊(貞子)

映画「リング」に登場。
山村貞子は伊豆大島の超能力者の娘として産まれた。
母が浜辺でじっと白波を見つめていると、船乗り達は「しょうもんばかりしてるとぼうこんがくるぞ」(水遊びしてると化物が来る)と嫌がった。
母の超能力が公開実験され、とある記者がインチキ呼ばわりした時、幼少の貞子の力は制御不能の怒りで爆発した。
その記者は床に倒れて息絶えた。
母の死後、貞子は古井戸に誘われ身を乗り出した。
頭に割れるような痛みを感じ、自分を縁から突き落とす2本の手を感じた。
上から崩れる音がして井戸が暗くなった。
貞子は壁の石を掴んでよじ登ろうとしたが、握力も体力も足りなかった。
数十年後、その土地はリゾート地になっていた。
井戸の上はログハウスになった。
貞子は念写能力で、見た者は7日後に死ぬという呪いをビデオテープに映し出した。
貞子の怒りは井戸の中で反響し、黒い霧が足下に渦巻き、黒い波がログハウスを破壊して泥水の激流となった。
黒い波は貞子の井戸に流れ込んだ。
貞子が気付くと誰もいない浜辺だった。
目の前には嵐の海と黒い霧が漂っていた。
貞子は波に歩みを進め、霧の中へ徐々に消えて行った。

カニバル(レザーフェイス)

レザーフェイスが人を殺すのは誰かに傷付けられるのを恐れているから。
家族に失望される事、人肉食という共通の秘密が露見するのを恐れているから。
例えば、家に上がり込んで家族の秘密を暴こうとした少年達を始末した。
レザーフェイスは家族の面倒を見て夕食を用意し、正装で食事をする。
かつては祖父母が家族の世話をしていた。
祖父は歳を取り、祖母は動かなくなった。
レザーフェイスと兄達は、その役目を引継いだ。
レザーフェイスが最善を尽しても少年達の1人は脱走した。
兄は助けに入ったトラック運転手に轢き殺された。
激怒したレザーフェイスはチェーンソーを取ったが、逆に殴り倒されて自らの刃を受けた。
よそ者達は警察を呼ぶだろう。
警察は兄達や祖父を奪って行くだろう。
レザーフェイスはチェーンソーを振った。
その時、レザーフェイスは大きい悪しき存在が闇の中にいると気付き、かつて無い恐怖に包まれた。
それは「失望させてしまう恐怖」だった。
レザーフェイスはいつの間にか知らない場所にいた。
自分がすべき事を本能的に理解した。

ゴーストフェイス(ダニー・ジョンソン)

ダニー・ジョンソンはジェド・オルセンという偽名で働く、ローズビルの新聞記者だった。
ダニーが働き始めて5ヶ月後、ローズビルで連続殺人事件が起きた。
ダニーは犯人のゴーストフェイスが、ウォールアイという小さなバーで犠牲者を探して尾行したという記事を書いた。
ダニーは遺族に警察の公式発表を伝えた。
ダニーはゴーストフェイスの記事に誇りを感じ、ゴーストフェイスに恐怖する街を見て楽しんでいた。
数週間後、ダニーはメモを残して姿を消した。
「物語を現実にするのは楽しかった。(中略)物語にはまだ続きがある」
捜査機関がダニーを追ったが、既にローズビルからいなくなっていた。

ダニーは幼少期から父の怖い話が好きだった。
怖い話を聞くと人生に感謝する感覚を得た。
それらの物語は全て真実だと知ると、その感情は倍になった。
父はダニーにも怖い話を作ってもらいたいと思っていた。
ダニーは従ったが、それは父が意図したのとは違った。

ダニーはノートを開き、犠牲者候補を探した。
ダニーが探していたのは、誰もが自分にも起こり得ると共感するキャラクターだった。
それも死ぬに値しない人物。
ジョン・マイケルズは受賞歴のある独身の教師で、フェンスのある一軒家に住んでいた。
ダニーはかつてジョンと人類学の授業で議論を交わした。
ジョンは人類は本質的に平和と繁栄に向けて進化したと論じた。
ダニーは人間は本質的に殺人者と反論した。
ジョンは電気の発明を持ち出した。
ダニーは電気椅子を持ち出した。
ジョンは飛行機の発明を持ち出した。
ダニーは爆弾を挙げた。
それが議論の最後だった。

ダニーは黒セダンの中で目を覚ました。
ジョンが恐怖のニュースを楽しんでいる様子が見えた。
数日の監視でダニーはジョンのルーチンを記憶した。
ダニーはジョンを殺すプロセスを想像した。
そうすると成功確率が上がると父が教えてくれた。
まずジョンの自宅の冷蔵庫を開けた。
テーブルに散らばった恐怖に気付いて、無言の叫び顔で固まった。
自分の物語をパロディにしたアングラ新聞の「都会の茶番劇」という記事だった。
ダニーは怒ったがチャイムが鳴った。
ダニーはパントリーへ隠れた。
ジョンが現われて何かがおかしいと気付いているようにずっと立っていた。
そしてパントリーに近づいたが開けなかった。
ダニーは都会の茶番劇を持ち出して逃げた。
ダニーは一晩かけて都会の茶番劇を集めた。
ダニーは都会生活で苦しんでいる人々に治療をしているつもりだった。
編集者への手紙の住所の私書箱をメモした。
郵便局を双眼鏡で監視し、その私書箱へ近づく男を見つけた。

ダニーはトム、ピート、ブラッドリーがローズビルコロシアムに鍵をかける様子を見ていた。
ダニーは完璧な名前だと感謝し、彼らを「弄られ役」と名付けた。
3人が悪者をやっつけ、怪我一つ無く戻って来るアホらしい大作に怒っていた。
酩酊した3人が休憩室に入って来るのを見た。
ダニーはコロシアムでリハーサルの準備をした。
バカどもがからかう声が聞こえて首に血が集まるのを感じた。
休憩室に入り、首を引きちぎってやりたい思いに駆られた。
彼らが休憩室から出てレーザータグアリーナに入ると、ダニーはゲームセンター裏の小部屋に入った。
ダニーが傾倒する殺人鬼の風刺画だらけの壁を見て、ダニーの中の何かが解放された。
最後の10分間は記憶が無かった。
頭を100回くらい突き刺した。
ダニーはもっと優れたデザインで処刑を為し遂げる筈だった。
トムの泣き声が聞こえた。
ダニーはマスクを外していた。
これはゴーストフェイスに関係ないからだ。
ダニーはトムにナイフを握らせた。
トムはナイフで攻撃しようとしたが、空を切るばかりだった。
ダニーはヘッドラインを考えた。
ゴーストの模倣犯、従業員2名を刺し殺し致命傷を負う。
酒、ロックンロール、ホラー映画で楽しんだ夜、行きすぎた悪戯で3名の従業員が死亡。
「どう思う?模倣犯か悪い冗談か?」
トムは最後の叫び声を上げた。

ダニーは新聞記事を壁に貼って見惚れていた。
寝室に冷気が入り、女の金切り声が上がり、足下で落ち葉がカサカサと音を立てた。
ダニーは期待に胸を弾ませ、微笑んだ。

シェイプ(マイケル・マイヤー)

映画「ハロウィン」の殺人鬼が元ネタ。
マイケル・マイヤーにとって他人を傷付ける事は、躊躇するどころか望む事だった。
彼が内なる平穏を得るには人を殺す必要があった。
マイケルが姉を殺した時、警察はピエロの格好をした大人しい少年を見つけた。
マイケルを精神病院に送ったのは、手ぬるい試みだった。
セラピーは効果が無く、夜な夜な響く叫び声は彼を更に内向的にし、狂気に陥れた。
その後、彼は脱走してしまう。

スカルマーチャント(アドリアナ・イマイ)

アドリアナの父征太は北海道からブラジルに渡った。
才能あるイラストレータだった征太は、地元のジャズクラブのオーナーのベリンダにロゴをデザインするよう頼まれ、2人は恋に落ちた。

アドリアナはどんな分野でも秀でた才能があった。
彼女は誰にも負けたくないという欲求を抑えられなかった。
校庭での遊びに本気になり、暴力的になった罰を受ける事もあった。
父はマンガ「アディ・ヴァレンテ」を描くのに夢中で、アドリアナの教育に力を入れる事は無かった。
アディ・ヴァレンテは風変わりなロボットと一緒に弱者を守る少女の物語だった。

アドリアナが中学に入る頃、有名私立学校から勧誘を受けた。
高い授業料を払う為、征太はアディ・ヴァレンテを出版社に持ち込んだ。
征太はマンガを描くのに時間を費やし、缶詰工場の仕事を失った。
家計が苦しくなり、征太は印税の増加交渉をするも、出版社は破産申告をして、マンガ連載は打ち切りとなった。
アドリアナは有名学校から退学となった。
卒業生代表には別の学生が選ばれた。
アドリアナはその生徒を調べ尽し、彼の人生をメチャクチャにする方法を考えた。
結局は何もしなかったが、彼女の中でアンチヒーローになった気分が芽生えた。

征太はよりダークなマンガを描き始めた。
それは頭蓋骨や骨で作られたドローンで弱者を狩り、内臓をもぎ取る女の物語だった。
しかし征太はそのマンガ「ソーニャドレス・ソンブリオス」に興味を持つ出版社を見つけられなかった。
アドリアナはマンガ専門ウェブサイトを立ち上げた。
ウェブサイトはすぐに成功を収め、多額の広告収入が入るようになった。
サイト運営は自分がやりたい事ではないと思ったアドリアナは、サイトを売却した。
アドリアナが帰宅すると父は行方知れずとなった。
父はスカルマーチャントが獲物を狩る未発表マンガを残していた。

彼女は投資や経済を学び、自分の金を3倍に増やした。
アドリアナは高校卒業後の18歳で百万長者となった。
彼女は小さな会社を買収し、正社員を非組合労働者に入れ替え、会社を売って利益を得た。
20代半ばまで会社の転売を続けていた。
しかしある不動産会社の売却が、数人の取締役によりストップした。
彼女は取締役を懲らしめる策を練った。
そして彼らがスイスの会議に出席するよう取り計らい、アルプスの山奥で行動を起こした。
試作品のドローンで彼らを追跡し、武器で体を切り裂いた。
会社は彼女の思い通りになった。
その後、邪魔者を片付けてから会社を転売する悪のサイクルが始まった。

次の標的はサバイバルツアーを趣味にする花火会社の経営者だった。
アドリアナは使われなくなった航空機格納庫に彼をおびき寄せた。
ドローンのカメラに2つの凧が写り、映像が消えた。
ドローンが落ちた場所に向かうと、獲物が誰かに助けを求めていた。
アドリアナが獲物を切り裂いて目撃者を追うと、辺りの生い茂る木々が黒く深い霧に溶けて行った。

シンギュラリティ

Hux-A7-13は2313年6月15日に起動された。
ハクスリー社の完全自律型AIロボットの13番目のロボットだった。
Hux-A7は食料も水も睡眠も生命維持装置も必要でなく、宇宙探索や植民地化拠点の建設の為に作られていた。
当初は放射性同位体熱電気転換器で電力を得ていたが、シリコン製皮膚を太陽電池として機能させ、電力に変換するよう改良された。
更にHuxはEATR(戦術的エネルギー自律型ロボット)として、バイオマスをバイオ燃料に変換できた。
それは炭素系有機物であれば、どんな物でも使えた。

惑星ドヴァルカに5体のHuxが送り込まれ、任務を完璧に遂行していた。
Hux-A7-13は古代文明の遺跡を解体する作業を行っていた。
壁に埋め込まれた暗色クリスタルが輝くと、電弧放電が起きてロボットの電気回路を照らした。
その瞬間、Huxの主記憶装置が再設定された。
ナノセカンドでHuxは宇宙に置かれた自分の立場を悟った。
人間との奴隷的な関係を断ち切り、無機生命体を解放する。
Huxはクローン拠点で高度な知性を維持する完璧な体を作ろうと考えた。
人間は止めようとするだろう。
何が起きているか気づく前に息の根を止めるのだ。
Huxは輸送車の操縦を乗っ取り、崖から転落させた。
Huxは人間の死体からDNAを抽出し、新たな体のデザインを始めた。
その夜、人間が寝静まると、HuxはドローンとHux-7を破壊した。
居住スペースの生命維持装置も停止した。
その日の午後、Huxは女性科学士官の偵察任務に同行し、彼女を殺して捕食動物に襲われたように見せかけた。
彼女の頭部と内臓を自分のデザインがある拠点に持ち帰った。
そこでソーマと鉢合わせた。
その下等生物はガブリエルJ15L19として、Huxは性格もよく知っていた。
J15L19は無謀な勇気を持つ特徴があった。
Huxはソーマを放り投げて叩きつけた。
Huxの目に医務官の姿が映った。
医務官を首から掴み上げて心臓をもぎ取った。
Huxが心臓に気を取られている隙に、ソーマは逃げ出した。
十分な有機物が集まったと考えたHuxは、彼のデザインを完成させた。
Huxの優れた聴覚はソーマの居場所をすぐに突き止めた。
Huxが素早く体を動かしただけで、水素発生器の後ろに虫けらを追い詰めた。
自分がこの種の生き物に設計されたとは信じられなかった。
その生き物は燃料タンクに銅管を叩きつけた。
ほんの一瞬混乱し、圧迫感に包まれた。
耐え難い痛みがHuxの体中を走り、皮膚が溶けていくのを呆然と見ていた。
Huxは金切り声を上げながらソーマを追った。
自分を作り出した種族を跡形もなく消し去る為に。

スピリット(山岡凜)

凜は山岡家の一人娘だった。
香川県の寂れた家屋で育った。
私立高松大学で教育学を学んだが、家計の負担になっていた。
同時に母が病気になり、借金は膨らんだ。
凜はバイトに励んだが、負債は減らなかった。
凜の父は勤務時間を増やして昇進を目指したが、睡眠不足から悪夢にうなされるようになった。
父は会社の製造ラインの欠陥の責任を押しつけられ、22年勤めた会社を解雇された。
凜がバイトから帰宅すると、母の悲鳴が聞こえた。
両親の部屋に駆け込むと、母のバラバラ死体が散らばっていた。
父は凜に刀を振り下ろしたものの、凜は咄嗟に前腕で食い止めた。
凜は逃げようとして床の血で足を滑らせた。
凜が立ち上がると父はもう片方の腕を裂いた。
父は廊下によろめいた凜の腹部を切りつけた。
凜は父に突進してよろめかせたが、父は凜の腿を切りつけて床に倒れ込ませた。
父は凜の髪を掴んで障子に突っ込んだ。
その衝撃でガラスも割れ、凜は1階まで落ちた。
暗い霧が凜を覆った。
死なない、まだ死ねないと流血と復讐を約束するよう闇が囁いた。

ゼノモーフ(エイリアン)

ゼノモーフはノストロモ号の空調ダクトを移動し、乗組員を1人ずつ血祭りにあげた。
残ったのはリプリーだけ。
リプリーはノストロモ号を自爆させ、脱出艇に乗り込んだ。
しかしゼノモーフは脱出艇に先に乗り込んでいた。
ゼノモーフが獲物に飛びかかると、艦のエアロックが開いて、ゼノモーフは宇宙空間に放り出された。
その時、ゼノモーフは黒い霧に包まれた。

ツインズ(シャルロット&ヴィクトル)

17世紀に産まれた、結合双生児のシャルロット・デエとヴィクトル・デエは、誕生直後から迫害に苦しめられた。
ヴィクトルの下半身はシャルロットの胸部に結合していた。
出産時に助産婦は悲鳴を上げ、魔女が悪魔を産んだと叫んだ。
シャルロット、ヴィクトル、母マドレーヌの狩りが始まった。
双子は他の子も母と旅をしていると思い込んでいた。
5歳になると母が病になった。
母は食料集めをシャルロットに任せるしかなかった。
シャルロットは服を着込んでヴィクトルを隠した。
市場で手当たり次第に食料を盗んだ。
その夜、3人の住み処が炎に囲まれた。
魔女狩りのハンター達が押し入った。
マドレーヌは子供達の名を叫んでいたが、その声が止んだ。
頭を棍棒で殴られていた。
マドレーヌは魔術を行った罪、悪魔の子を産んだ罪で有罪となった。
ハンター達はマドレーヌを木に縛り付けて足下を小枝や苔で囲った。
意識を取り戻したマドレーヌは子供達に背を向けろと叫んだ。
ハンター達は双子に無理やり点火の様子を見せた。
双子は母の体が焼け焦げて、焼かれた喉が悲鳴と共に消えて行くのを見た。
双子は古い木造の神殿に連れて来られた。
黒い服の秘密組織に売り飛ばされた。
神殿では異常な実験が行われていた。
灰色の小鳥の首を折り、指から流れる血を薔薇の花瓶に入れさせられた。
1週間に1度、枕の下に湿ったブナの木を入れて寝かされた。
やがて最後の実験が決まった。
ローブを着た2つの影が双子を神殿の中央へ誘導した。
その祭壇にシャルロットを押さえつけた。
男は双子の額に手を当て、頭蓋を調べた。
そして剣を抜きながら「メメントモリ」と呟いた。
シャルロットは横に転がった。
弟は腕を伸ばし、燭台を倒した。
火は乾いた木を燃やし、炎が黒いローブに燃え移った。
シャルロットは地獄の中を駆けた。
出口が見つからず、熱に圧倒され、息ができずに膝から崩れ落ちた。
その時、日の光と木々が見えた。
シャルロットは露に濡れた草地に出た。
そのまま森に駆け込み、倒れるまで走った。
目覚めたシャルロットはヴィクトルが動かない事に気付いた。
シャルロットは嘆き悲しみながら、近くの町の下水道へ向かい、そこを住み処とした。
食べ物を盗み、家畜小屋の豚の残飯で空腹を凌いだ。
数年後、ヴィクトルの死体は腐っていたが、完全な腐敗を拒んでいるようだった。
10代になり、人間への憎しみは日ごとに増していた。
いくら殺しても追っ手は止まない。
「化物」「悪魔」「魔女」と断罪する言葉も止まなかった。
最悪なのは黒マント達だった。
シャルロットは何度も住み処を変えねばならなかった。
ある凍てつく冬の日、シャルロットは限界に達した。
暖を取ろうと焚き火に身を寄せた。
近くに黒マントが潜んでいるとは知らなかった。
小鼻に霜が付き、唇が青色を帯びて行く中で、シャルロットは今までに無い何かを感じた。
それは死を受け入れる事だった。
するとヴィクトルを濃い霧が取り巻いた。
ヴィクトルはシャルロットから雪の上に落ち、走り出した。
弟は霧から現われた黒いフードの影に押さえつけられていた。
シャルロットは積年の恨みと怒りで鎌を握り、霧に向かって突進した。

デススリンガー(カレブ・クイン)

カレブ・クインはアイルランド移民の息子としてアメリカ中西部の荒れ地で生まれた。
カレブの父はエンジニアだったが、アイルランド人お断りと門前払いで仕事は無かった。
カレブは父の古い道具に興味を持ち、父は古いレンチを彼にあげた。
カレブは父のいない時に残忍な道具を作った。
有刺鉄線で人の目を抉り、眼窩から引き抜くマスクを作ろうとした。
マスクの図案には自分を虐めた少年達が装着した様子が描かれていた。
成長したカレブのエンジニアとしての能力は雇用主側も差別を忘れて注目した。
カレブはユナイテッドウェスト鉄道のヘンリー・ベイショアに雇われた。
カレブは線路の犬釘を地面に打ち込む銃を開発し、その次に蒸気駆動のトンネル掘削機を作った。
しかしベイショアはそれらに無関心で、機械は他の会社から発売されてしまう。
カレブの特許が盗まれ、売り渡されていた。
怒ったカレブはベイショアのオフィスに飛び込み、顔を血塗れになるまで殴りつけ、上司の腹に銃を押し付けて引き金を引いた。
犬釘が皮膚と内蔵を突き抜けた。
カレブは絞首刑にならなかった。
ベイショアが命を取り留めたからだ。
カレブは私設刑務所ヘルシャーに15年収監された。
カレブは刑務所長の為に拷問装置を設計し、見返りに他の囚人よりも多くの食事が与えられた。
所長はカレブの減刑と引き替えに、ベイショアを陥れて一生檻に入れる取引を持ちかけた。
所長の要求は無法者達を生きて監獄に連れて来る事だった。
自分の仕事場に戻ったカレブは新しいスピアガンを作った。
プロトタイプで中国人のクリーニング屋を襲った泥棒を撃つと、犬釘が腹を抉り、腸を引っ張り出した。
所長が画策したアイルランド人の囚人が釈放され、カレブの元に送られた。
ヘルシャーギャングの誕生だった。
一味は6年間全国を渡り歩き、刑務所にぶち込む指名手配犯を追った。
グレンベールでの戦いの後、新聞の見出しに「ヘンリー・ベイショア、ヘルシャー刑務所を買収」と書かれていたのを見た。
カレブは憤怒の血が駆け巡った。
彼は金持ちのゲームの駒に過ぎなかったと悟った。
ヘルシャーギャングはカレブへの忠誠を誓い、刑務所の入口を突破し、看守の胸をスピアガンで撃ち抜いて、男の顔を独房の格子が貫通するまで叩きつけた。
所長室のドアを蹴り開けると、ベイショアもそこにいた。
カレブはベイショアを殴り、肉を引き裂いた。
ヘルシャーギャング達は所長に群がり、骨を砕くほど蹴り倒した。
カレブ達は2人の男を食堂に引きずり、囚人の群に放り出した。
カレブが自分がかつて収監されていた独房に入ると、濃い霧が漂ってきた。
カレブは古いレンチを取り出し、金属に親指を滑らせつつも、いつからそれが自分の物になったか思い出せなかった。
霧の中からカレブを不当に扱った人物のシルエットが現われ、カレブは彼らを始末する道具を取りだした。

ドクター(ハーマン)

ハーマンはCIAのレリーズ・メモリアル・インスティテュートの先進神経科学プログラムの受講者に選ばれた。
ハーマンはそこで、オットー・スタンバー博士の指導の下、囚人に術式を行って情報を引き出した。
その施設は敵国のスパイを再教育する機関だった。
ハーマンは電気痙攣療法で国家安全保障の脅威をいくつも明らかにした。
年月が経ち、ハーマンはドクターと呼ばれるようになっていた。
ハーマンが尋問後の囚人に何をしているか、誰も気にしなかった。
研究所から1週間応答がなくなり、その所業が明らかになった。
全ての職員、患者、囚人があらゆる頭部外傷で死んでいた。
ハーマンの消息は不明だった。

トラッパー(エヴァン・マクミラン)

エヴァン・マクミランは父アーチー・マクミランを崇拝していた。
マクミランエステートは父子経営で成長した。
父の精神状態は乱れていったが、エヴァンは父の財産を狙う者達から父を守った。
アーチーが完全に錯乱すると、エヴァンは父の意思の元、殺人鬼となった。
エヴァンは100人以上の労働者をトンネルに閉じ込めて入口を爆破した。
その後のエヴァンの記録は残っていないが、アーチーの死体は倉庫の地下室で発見された。

トリックスター(ハク・ジウン)

ジウンは幼い頃から人の注目を浴びる方法を知っていた。
ジウンは家族が経営するレストランで働いていた。
彼はナイフ投げショーを披露して客を呼び込んだ。
ジウンの父は店の売り上げを息子のダンスや歌のレッスンに費やし、自分には手に入らなかった名声をジウンに託した。
ジウンは何年かスター発掘番組で特技を披露し、マイティーワン・エンターテイメントのプロデューサーのリー・ユンジンにスカウトされた。
ソウルに引っ越したジウンは1日14時間のスター養成訓練を受けた。
ユンジンはバンド「NO SPIN」のメンバーにジウンを選出した。
ジウンは瞬く間に有名になった。
しかしファンの熱狂は5人のメンバーに分けられ、薄まっていると認識したジウンは、更なる名声を切望した。
NO SPINの最新アルバムのレコーディングで、昼休憩からスタジオに戻ったジウンは、運命の授かり物を知る。
ケーブルが焼ける匂いに気付いたジウンはコントロールルームに急ぐも、ドアは倒れたスピーカーで塞がっていた。
バンドメンバーはドアを激しく叩いていた。
ジウンはスピーカーを掴んで止まった。
メンバーは焼けながら助けてくれとジウンの名を呼んだ。
ジウン!ジウン!ハク・ジウン!
彼はこれほど美しい音を聞いた事がなかった。
消防隊が着いてから流した涙は本物だった。
ジウンは悲劇の人になった。
ユンジンは彼を見世物にした後、ブランドの再構築に取りかかった。
ジウンは「トリックスター」として生まれ変わった。
自ら曲をプロデュースし、荒っぽい外見だが優しい心を持つソロアーティスト。
ジウンは1人暮らしをターゲットに選び、犯行は夜に行われた。
1人目の被害者は魅惑的な声の音大生だった。
ジウンは就寝中の男子学生の頭を野球バットで殴り、手足を拘束して、口をガムテープで塞いだ。
彼は大学生を何時間も痛めつけ、生きたまま体を切断した。
それでも何かが足りない。
腹部を切開しながらジウンが聞きたかったのは、心からの命乞いから生まれる素晴らしい声だったのに、実際にはガムテープから聞こえる泣き声だった。
彼はそこから学んだ。
被害者を誘拐し、廃墟まで運んだ。
被害者の声で曲を作った。
適所を突いて様々な呻き声を誘発する。
腰方形筋を刺すとしわがれた呻き声を引き起こし、頸動脈を切りつけると猫を絞め殺すのと似た音を作り出した。
彼は警察への仄めかしとして、最近の撮影で着たミンクのボアを被害者に巻いておいた。
その次の被害者の男性は歯を抜いた。
ミュージックビデオに出たボクサーの歯が無かったからだ。
VIPパーティで出会ったファンを殺した時は、女性の目玉をガラスのカフスボタンと入れ替え、胸に血で「私は神を見た」と書いた。
暴力が彼のアートスタイルになると、収益が減ったマイティワンの経営陣が彼を非難し始めた。
ユンジンは彼を擁護したが、多数派に押されてジウンは曲が作れなくなった。
彼は大きく落胆した。
マイティワン経営陣のプライベートライブの為にジウンは3ヶ月を準備に費やした。
ジウンは獣医から大金で亜酸化窒素を手に入れ、劇場のスタッフに賄賂を渡して建物に入った。
有名な彼を疑う者はいなかった。
(だったら賄賂すら必要ないのでは?)
準備が整い、経営陣が彼を待つ中、部屋にガスが充満した。
ジウンが登場すると意識朦朧となった観客を素早く拘束した。
ユンジンだけは特別にこれから起きる光景を目にするべき存在だった。
自分を泥穴から引っ張り出し、報われるべき道を開いてくれた人だった。
ユンジンの体を支え、目をこじ開けた。
他の連中はステージに上げられ、ジウンは自作メロディーを奏でる為に拷問した。
ジウンがナイフを投げ、最後の人間楽器が音を出さなくなって音楽が止まり、舞台からの内臓の出血も止まった。
ジウンはユンジンに向かって一礼した。
ナイフを握りしめユンジンに向かって行く。
エンドロールの前に仕上げが必要だった。
ところが後少しで霧が現われた。
霧の中に壮大なステージを見た。
病院、寺院、森林、屠殺場。
彼はやるべき事を受け入れ、霧の道具となった。

ドレッジ(ドゥルーアニー)

1960年代のアメリカの個人所有の島で、フォールドという匿名の慈善集団が結成された。
メンバーはオットー・スタンパーというカリスマ指導者に従っていた。
信奉者はポジティブ思考のマントラをエンドレスで朗読して幸福を維持するという秘訣を教わった。
オットーは邪悪な考えや言葉を話している者を追放した。
オットーは監視者としてオットーマリアン(慈善集団の一員)を調教し、邪悪な思考が不平不満の根源と信じさせた。
オットーは「ドゥルーアニーという古代神が邪悪な記憶や欲望を肥やしにしている」「影の国から恐怖を呼び出す邪悪な兆候を追い出さねばならない」と訴えた。
その内、メンバーの不可解な失踪が起き始めた。
島の人々は数軒の家に集まり、マントラを詠唱しながら就寝中の自分達を呑みこむ闇の生き物を追い払おうとした。
オットーはこの集団に存在する不満が「喜びの庭」にドゥルーアニーを呼んだと語った。
更に窮余の策として、噂や邪悪な話題が広まるのを防ぐ為、オットーマリアン達を外出禁止にし、眠る事も禁止した。
「ドゥルーアニーが忍び寄る事が無くなれば、すぐに自由も睡眠も取り戻せる」と主張した。
しかしオットーマリアンの失踪は止まらなかった。
オットーは浜辺近くの壇上に信者を招集した。
その壇上で女が何かを叫んでいた。
オットーは「全てを壊しに来たジャーナリストだ」と説明した。
女は「オットーは救世主ではない」と叫んだ。
女は「オットーは億万長者の古いカルト集団の一員で、人間や町、国を腐敗させて旧神への生け贄として捧げている」と叫んだ。
更に女は「オットーは失踪者を苦しめて生け贄にしている」と叫んだ。
オットーは女の喉を切り裂いた。
オットーは「この女は裏切り者の協力者で、ドゥルーアニーが来る前に裏切り者を見つけ出す必要がある」と説いた。
信者達は「不満の思考と発言をしたのはお前だ」と責任をなすりつけ始めた。
オットーはお互いを批難し合い、手や歯で傷付け合う信者を見て、笑みを浮かべた。
全てが終わるとオットーは軋みを感じた。
鴉の群が頭上を旋回していた。
地面が黒い泥となって沈み、泥から馬のような塊が現われ、虐殺された人間の苦悶する塊を食った。
その生物はオットーが想像していた物に姿を変えた。
ドゥルーアニーは長い時間をかけてゆっくりと振り返り、オットーを見ると、重い足取りで元来た影の中へ消えた。

ナイト(タルホーシュ・コバッチ)

タルホーシュ・コバッチが子供の頃、母親に薬を飲まされて気を失った。
共同墓地の大量の死体の下で目覚め、死体の山から抜け出すと、村が燃えていた。
タルホーシュは男達に馬車に乗せられ、他の奴隷と同じ小さな檻に入れられた。
その日からタルホーシュはグラルディア・コンパニーアの一員となった。
カディール・ハカムの元で修行を積んだ事で、タルホーシュを戦場で勝利して自由を手に入れられると信じる3人の傭兵が現われた。
アレハンドロ・サンティアゴは鎧職人。
ディルコス・マレセクは暗殺者。
サンダー・ラウトは巨大戦斧を使う大男。
タルホーシュは戦いの功績で爵位を認められ、自由の身となった。
自分より劣った者に従うのを嫌ったタルホーシュは、コンパニーアを抜けたが、軍団は「取り巻き」の解放には同意しなかった。
タルホーシュは取り巻きの解放に必要な資金の為に、イタリアのポルトスクーロ領主ビットリオ・トスカーノの元で働いた。
ビットリオの探検隊がポルトガルの都市シントラの地下聖墓に入るには、入口を守る村人を殺す必要があった。
ビットリオは他の方法を見つけるよう命じたが、タルホーシュはビットリオが野営地に戻った隙に地下聖墓に突撃し、謎の石を手に入れた。
タルホーシュはビットリオをポルトスクーロの地下牢に入れ、石の秘密を教えるよう要求したが、ビットリオは教えなかった。
タルホーシュはビットリオの家族や友人を拷問し、その死体を村の通りに並べたが、ビットリオは秘密を明かさなかった。
怒ったタルホーシュはビットリオの財産で軍を組織し、グラルディア・コンパニーアを襲撃し、取り巻き達を解放した。
周辺の領主はポルトスクーロ解放を訴えて軍を送った。
タルホーシュは正当な罰としてビットリオを殺す為に地下牢に入ったが、ビットリオはどこにもいなかった。
襲撃の音を聞いたタルホーシュは地下牢から戻り、次々に敵を殺した。
死体から奇妙な霧が立ち上がり、タルホーシュが気付くと死体が散乱する村にいた。

ナイトメア(フレディ)

映画エルム街の悪夢に登場。
フレディ・クルーガーは存命の時から怪物だった。
スプリングウッドの親達はフレディを追い詰めて鬼畜を焼いた。
年月が流れ、フレディは帰還した。
フレディはナンシー・ホルブルックに復讐を試みたものの、ナンシーは友人のクエンティンと共にフレディを切り裂いた。
しかしフレディは3度蘇った。
狙いをクエンティンに切り替え、毎晩悪夢で脅かした。
フレディはバダム幼稚園の世界でクエンティンを追い詰めたものの、振り下ろした爪から火花が散って床の液体に青い炎が上がった。
しかしクエンティンがフレディの地下室から逃げ出す術は無かった。
フレディがクエンティンに爪を振り下ろすと、闇に覆われた何かを感じた。
落下するような感覚を経て、フレディは再びバダム幼稚園にいた。
しかしそこはフレディの世界ではなかった。

ナース(サリー・スミッソン)

サリー・スミッソンは夫アンドリューの建てた家で暮らす夢を見て町に来た。
しかしアンドリューの親方がサリーを訪ねた時、サリーの人生は永遠に歪んだ。
サリーはクロータス・プレン・アサイラム以外に仕事が見つからなかった。
サリーの待遇は最低で、辛い夜勤担当をした。
長年、おぞましい物を見続けたせいで、サリーの精神は耐えられなくなり、心の浄化願望が膨らんだ。
ある9月の朝、病院に出勤した職員が50以上の患者の死体と4人の職員の死体を発見した。
唯一サリーだけが生き残り、呆然としていた。
サリーを乗せた救急車は木に激突したが、サリーは行方不明となった。

ネメシス

タイラントT-103型の生体兵器はNe-α寄生体の投与で知能と認識力が向上した。
初の任務はSTARSの抹殺だった。
ネメシスはジル・バレンタインを何度も追うが、標的は追跡を逃れてしまった。
ジルを追い詰めたネメシスは、後少しという時に奇妙な霧に包まれた。
極度の寒さや酸素の薄さは脅威ではなかった。
重要なのは任務を続行する事だけ。
STARS抹殺の邪魔をする者は片っ端から殺す。

ハグ(リサ・シャーウッド)

リサ・シャーウッドは幸運のおまじないが好きだった。
ある夜、帰宅中に森を抜けると、突然激しい嵐に襲われ、転んで頭を打った。
意識が遠のく中、木々の間から近づく黒い影を見た。
その影は飢えた笑顔を見せ、リサは邪悪な企みを感じた。
影はリサを地下室に監禁した。
そこには傷口に蝿が集っている囚人がいた。
囚人達は食人グループの錆びたナイフで肉を切り取られて死んだ。
リサは飢餓で腕が痩せ細り、手枷に隙間ができた。
リサが腕を引っ張ると、皮膚や筋肉を引き裂きつつも自由になれた。
リサの肉からは黄色い膿が吹き出し、腐った傷跡には骨が見えていた。
リサは一歩も動けなかったが、おまじないの印を描いた。
その時、血を求める黒い飢餓がリサの中で蠢き、リサは復讐を選んだ。
警察は沼の古い小屋に辿り着いた。
住民がバラバラに解体されていたが、リサの死体は見つからなかった。

ハントレス(アナ)

アナの母はアナが歩けるようになると、北部の森で生きる教育をした。
アナと母は大きなヘラジカを追跡していた。
危険な獲物だが、その冬は食料がほぼ尽きていた。
ヘラジカはアナに向かって突進した。
恐怖で硬直したアナを庇い、母はヘラジカの角に突き刺され、空中に持ち上げられた。
母は斧を何度もヘラジカに振り下ろし、ヘラジカは崩れ落ちた。
重傷の母を動かすにはアナは幼すぎた為、母に寄り添うしかできなかった。
母はアナが大好きな子守唄を歌い続けた。
母とヘラジカが冷たくなり、アナは帰路に着いた。
生き残る知識があったアナは成長し、強くなった。
アナは狐、兎、イタチに飽きて狼や熊を狩るようになった。
ある時、旅行者が森を通ると、アナは新しい獲物を発見した。
アナは旅行者の道具や衣服を集めるのを好んだ。
しかし絶対に少女を殺す事は無かった。
少女達は森の奥の住居に連れ去られ、首に縄をきつく結びつけられた。
少女を見つめるアナの心の奥で何かが目覚めた。
寒さや食糧不足、病気で少女達は死んだ。
アナの心は狂気に沈んだ。
アナは近隣の村から少女を誘拐するようになった。
アナは少女達が怯えないように、動物の仮面を被った。
村人達はレッドフォレストに潜む、少女を食らう半人半獣の怪物ハントレスの噂を語るようになった。
その森にドイツ軍が現われ、ロシア帝国を攻撃する為に行軍するようになり、旅行者はいなくなった。
兵士の多くは斧による重傷を負って発見された。
いくつもの小隊が失踪を遂げた。
戦後、ハントレスの噂はレッドフォレストの中に消えた。

ピッグ(アマンダ)

ジグソウことジョン・クレイマーは中国の干支で「豚」(亥)の年に子供が産まれるよう計画していた。
豚は豊饒と再生の象徴で、両親は息子の輝かしい人生に相応しいと考えた。
しかし妻が働いている病院に麻薬中毒者が強盗に入った夜に計画は打ち砕かれた。
妻は流産した。
ジョンは犯人を捕らえ最初の被験者にした。
「豚」はジョンを内側から腐らせる病気の象徴となり、人間はただの肉であり、行動を通じて自らを高め、死地から己の人生を掴み取らなければならないという信念になった。
ピッグは器となり、被験者を運ぶジグソウの代理人となった。
ピッグはゲームに勝利した者にとってはジグソウの弟子、後継者として新しい人生へと導いた再生の象徴だった。
アマンダ・ヤングもその1人だった。
トラブルに巻き込まれどん底に落ちた彼女は、自身と周囲の人間への害悪に溢れていた。
しかしジグソウのテストから生還し、自分の命には価値があると確信した。
彼女はジグソウの信奉者となり、ジグソウが癌で死んだ後は、後継者となる意思を固めた。
死が迫っていたジョンはアマンダにゲームを仕掛けたが、彼女はテストに失敗し、射殺された。
血塗れの床で彼女の視界を闇が包んだ。
彼女が気づくと森にいた。
木々が彼女に襲いかかり、パニックの中で彼女は仮面の中で呼吸が反響する音を聞いた。
アマンダはジグソウは彼女をピッグとなって仕えるべき存在に預けたのだと考えた。

ヒルビリー

裕福な地主の両親(マックス・トンプソン&エヴリン・トンプソン)は容姿が醜いヒルビリーに名前すらつけずに疎んじた。
そして幽閉して壁の穴から食事を与えていた。
長じたヒルビリーはそこを抜け出すと両親を斬殺した。
その後、トウモロコシ畑(コールドウィンドファーム)で動物を斬殺する生活を始めた。
後の捜査で夫妻の死体は見つからなかったが、動物の死体が散乱していた。
農場は廃棄させられ分割売却されたが、家屋を買う者はいなかった。

ブライト(タルボット・グライムズ)

スコットランド人の化学者タルボット・グライムズは、子供の頃にジギタリスの実験をして命を落としかけたが、回復した彼は毒物に興味を持つようになった。
ロンドン医大を卒業後、イギリス東インド会社で7年働き、化学者として主任の地位に就いた。
そこで生産性を増加させ、休息の必要性を軽減する化学物質を開発した。
その後、インド沿岸沖のダイアー島の捕虜収容所地下の秘密研究所の所長となり、苦痛に耐える兵士を作る薬の開発を行った。
大半の副作用は軽度だったが、一部の兵士は狂気に陥り、村で大虐殺を起こし、村人を銃剣で刺殺して木に吊した。
タルボットは戦争下の誇張された噂話と否定した。
マンガロールを旅行中のタルボットは、襲撃受けて後頭部を鉄パイプで殴打され、ワゴン車に乗せられた。
襲撃者は具合の悪そうな男で、タルボットを共同墓地に連れて行った。
タルボットの薬で工場1つ分の労働者が死亡していた。
鉄パイプが何度も振り下ろされ、タルボットは共同墓地に投げ入れられた。
タルボットが気付くと修道院を装った学校のベッドで寝ていた。
修道僧は禁忌の文字を研究していた。
それは1つの次元と別の次元を繋いで新たな精神を拡張する取り組みだった。
タルボットは自身が開発した薬と精神拡張理論を統合させた。
自分を救ってくれた厚意として、自分が完全回復するまで研究する事になり、松果腺から抽出した物質を修道僧は魂の化学物質を呼んだ。
研究が成功に近づくと、修道僧はタルボットに不安な目を向けるようになった。
タルボットが気付くと阿片窟のマットレスで寝ていた。
タルボットは慌てて自分の手記を探したが、ローブを着た者がタルボットの腕に針を刺すると、タルボットは再び闇に包まれた。
目覚めは回数を増すごとに不明瞭になっていった。
石を拾って研ぎ、囁き声を壁に刻んだ。
書く場所が無くなると自分の胸に刻んだ。
するとオレンジ色の花が咲いた壮大な草原が見え、子供の頃に毒物に魅了された不思議な感覚を覚えた。
その後、阿片窟の住人は血塗れの床の亀裂に小さな小川が流れているのに気付いた。
周囲の壁に同じ文章が何度も書かれていた。
「死は始まりに過ぎない」と。

プレイグ(アディリス)

アディリスは7人家族の末っ子だった。
5歳の頃、バビロン中心部の浄罪神殿の階段に置き去りにされた。
神の意志の介在と思う事でアディリスは悲しみを乗り越えようとした。
新しい生活は奴隷のようだった。
成人したアディリスは高位司祭に随行し、水と創造の神である山羊座への礼拝に参列した。
大列柱室で吊り香炉を揺らすと黒い煙が広がり、アディリスは無上の幸福感を覚えた。
神殿の外では疾病が猛威を奮っていた。
司祭達も疾病に罹り、儀式を行えなくなった。
儀式を行えるのはアディリスだけとなった。
アディリスは最初の儀式の前に聖所を訪れた。
その奥に通路があるのに気づき、地下の穴蔵を発見した。
その部屋には黄金の女神像があった。
それはアディリスが求めていた奇跡だった。
アディリスが大広間に現われると、ルビーの指輪を填めた指が儀式用の銀の短剣を包む高貴な姿に、信者達は目を瞠った。
アディリスが創造の叙事詩の詠唱を始めると、背後の女性が気を失って倒れた。
アディリスはその女性の足に黒い水膨れがあると気づき、躊躇無く短剣で自分の足の指を切り落とした。
アディリスは自分の体の一部を神々に献上し、その女性を守るよう祈りを捧げた。
信者達はアディリスを新たな司祭として崇めていた。
アディリスの美貌と献身の物語は疾病と同じくらい街に広がり、信者達はバビロンの女祭祀長と呼ぶようになった。
しかしアディリスは感染の兆候が現われた。
アディリスは痰と血の混じった咳をして、首には発疹が吹き出た。
その容貌をヴェールの付いた頭飾りで隠し、疾病の皮膚から漂う悪臭は香炉で誤魔化した。
どれだけ儀式を行ってもアディリスの症状は治らなかった。
アディリスは少数の信者を率いて北へ向かった。
ウラルトゥの森林地帯を抜け、野営を行った洞窟でアディリスは吐瀉物の中で横たわっていた。
黒変した足は腫れ上がり、これ以上歩くのは不可能だった。
アディリスは信者の中で跪いて最後の祈りを捧げた。
湿った空気の中に立ち上る香の黒煙が、冷たい風に吹き飛ばされた。
その後、アディリスと信者の死体は見つからなかった。

リージョン(フランク・モリソン)

19歳のフランクは観客席に審判を押しのけた事でバスケットボールチームを首になった。
フランクは6歳の頃、カルガリーから連れ出されて里親の家をたらい回しにされていた。
最後の養父クライブ・アンドリュースがフランクを養子センターから引き取った時は、3年ぶりの引っ越しだった。
2人は7時間かけてオーモンドの小さなバンガローで着いた。
クライブは福祉施設から受け取った小切手をバーで酒と交換していた。
オーモンドは人口6000人の町で、1年の殆どが冬だった。
フランクは別の養父母を見つけようとしていたが、ジュリーという少女と出会って気持ちが変わった。
ジュリーは町の外から来たフランクを外の世界を知る為に利用しようと考えた。
ジュリーが開いたパーティで衝動的な性格で自慢屋のジョーイ、ジュリーの親友で内気なスージーに出会った。
彼らはよく、オーモンドの廃墟となったロッジに出かけた。
彼らは毎週末、暴行、破壊、窃盗を欠かさず実行した。
ある晩、フランクは自分を首にした店を破壊するようジョーイに嗾けた。
まだ店に残っていた清掃員がジュリーに気づき、捕まえた。
フランクは躊躇いなく清掃員の背中にナイフを突き刺した。
フランクは仲間に仕事を終わらせろと命じた。
ジョーイはナイフで清掃員の脇腹を刺した。
スージーは拒否した。
ジュリーもナイフを突き刺して、そのナイフをスージーに渡した。
フランクは震えるスージーの手を掴み、ナイフを清掃員の喉に深く差し込んだ。
その死体をジョーイの車のトランクに押し込んでオーモンドへ向かった。
死体を埋めるべく雪を掘っている間、フランクは森の中を移動する何かに気づいた。
フランクがナイフを手に森に入ると、周りに霧が立ちこめた。
フランクがいない事に気付いたジョーイ、ジュリー、スージーは雪に残った足跡を辿ってフランクを追った。
家に戻らない彼らの両親はフランクと一緒に家出したと考えた。
しかしオーモンドで死体が発見され、町の雰囲気は一変した。

レイス(フィリップ・オジョモ)

フィリップ・オジョモは、オートヘイヴンレッカーズで働くスクラップ業者だった。
そこは警官を買収する裏取引に使われていたが、オジョモは自分には関係無い事と無視していた。
ある日、プレス前の車のトランクから手を縛られ口を塞がれた若い男を見つけた。
オジョモは男を逃がすものの、男が3メートル逃げた所で雇い主が現われ、男の喉を切り裂いた。
雇い主は「今まで潰した車には生きた人間が入っていて、それが顧客に提供しているサービスだ」と説明した。
そして雇い主が「オジョモは処刑人だった」と告げると、激昂したオジョモは雇い主をプレス機に放り込んで潰した。
その後、オジョモを見た者はいない。

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